エムガルティとは?効果・費用・副作用と5つの疑問に答えます
- どのくらい効くの?
- 注射は痛い?
- いくらかかる?
- いつまで続ける?
痛み止めは効くけれど、片頭痛そのものの回数を減らしたい。そう考えている方もいるのではないでしょうか。エムガルティは、月に1回の注射で片頭痛の発作を起こりにくくする薬です。国内で行われた試験では、1か月あたりの片頭痛の日数が平均3.6日減りました。当院では2021年の発売当初から使用しています。
この記事では、効果の数値、打てる人の条件、投与の方法、費用、副作用に加えて、痛いか・太るか・効かない人はいるか・いつまで続けるかという疑問までを、脳神経外科専門医の監修のもと解説します。
CONSULTATION
エムガルティは保険診療で使う処方薬です。お電話またはWEBでご予約のうえ、ご来院ください。 |
エムガルティとは
片頭痛の発作を起こりにくくする注射薬です
エムガルティ®(一般名ガルカネズマブ)は、片頭痛の発作が起こるのを抑えるために使う注射薬です。添付文書で認められている効能は「片頭痛発作の発症抑制」です。
月に1回、皮膚の下に注射します。飲み忘れを気にする必要がなく、毎日薬を飲み続けるのが負担になっていた方にとっては、そこも利点になります。
痛み止めとは役割が違います
片頭痛の薬は、大きく2つに分かれます。痛くなってから使う薬と、発作そのものを起こりにくくする薬です。
鎮痛薬やトリプタンは前者です。痛みが出てから飲んで、その発作を抑えます。エムガルティは後者で、痛くなってから打つ薬ではありません。月に1回打ち続けることで、発作の回数そのものを減らしていきます。めまいを伴う頭痛については耳と頭痛の関係とは?前庭性片頭痛の症状・見分け方・セルフケアを解説をご覧ください。
2021年から日本で使えます
エムガルティが日本で発売されたのは2021年4月です。その4か月後に、同じ仕組みの注射薬であるアイモビーグとアジョビが続きました。
発売からすでに5年が経ち、片頭痛の治療は、これらの薬が登場する前と後で大きく変わりました。当院でも発売当初から使用しています。
エムガルティが効く仕組み
CGRPという物質が関わっています
片頭痛が起こるとき、頭の感覚を担う三叉神経の末端から、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という物質が放出されます。
CGRPには血管を広げて炎症を起こす働きがあります。これが頭の痛みにつながると考えられています。実際に、CGRPを投与すると頭痛が起こることが確かめられています。
エムガルティはCGRPの働きを抑えます
エムガルティは、このCGRPに結合して、その働きを止める薬です。原因になっている物質そのものに作用するという点が、従来の予防薬と大きく違います。
これまで片頭痛の予防に使われてきた薬は、もともと別の病気のために作られたものを応用したものが多くありました。抗てんかん薬や血圧の薬が代表です。エムガルティは、片頭痛のために作られた薬です。
どのくらい効くのか
国内の試験では月に3.6日減りました
日本で行われた試験(CGAN試験)には、繰り返し片頭痛が起こる方459名が参加しました。
ここで大事なのは、これが平均の数値だということです。3.6日より大きく減る方もいれば、ほとんど変わらない方もいます。全員が同じように効くわけではありません。
ほかの予防薬が効かなかった方の試験
すでに別の予防薬を使っていて効果が不十分だった方を対象にした試験(CGAW試験)もあります。462名が参加し、繰り返す片頭痛と慢性片頭痛の両方が含まれました。
結果は、エムガルティ120mg群で1か月あたり4.1日の減少、薬の成分が入っていない注射の群で1.0日の減少でした。両群の差は3.1日です。
これまでの予防薬で結果が出なかった方にも、選択肢が残っているということです。
効果が出るまでの期間
1回目から変化を感じる方もいますが、個人差があります。当院では3か月、つまり3回打った時点で効いているかどうかを判定します。
1回で判断しない理由は、片頭痛の回数が月によって変動するためです。数か月の経過を見ないと、薬の効果なのか、たまたまその月が少なかったのかが区別できません。
打てる人の条件
添付文書とガイドラインの基準
エムガルティは誰にでも使える薬ではありません。添付文書には、前兆の有無を問わず片頭痛の発作が月に複数回以上あること、または慢性片頭痛であることを確認したうえで検討すると書かれています。
さらに、生活習慣の見直しや痛み止めによる治療を適切に行っても、日常生活に支障が出ている方に限って使うとされています。つまり、ほかの手を尽くしたうえでの選択肢という位置づけです。
基準を満たしても、全員に使うわけではありません
ここは正直にお伝えしておきます。当院では、基準に当てはまる方すべてにこの薬をお勧めしているわけではありません。
痛み止めで痛みが収まっていて、生活に困っていないのであれば、いまの治療を続けていただくほうがよい場合があります。月1回の注射と費用の負担が、得られるものに見合わないこともあるからです。
ご提案することが多いのは、次のような状況の方です。
- 痛み止めの効きが悪い、または効かない
- 頭痛の回数が多く、月の予定が立てにくい
- 発作が起きていないときでも、次が来る不安で行動が制限されている
先に飲み薬の予防薬を試すことがあります
いきなり注射から始めるとは限りません。まず痛み止めの使い方を見直したり、飲み薬の予防薬を試したりすることがあります。
飲み薬の予防薬には、抗うつ薬、抗てんかん薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬などが使われます。そこで十分な効果が得られなかった場合に、注射を検討するという順序です。
始める前にMRIで確認します
当院では、予防治療を始める前に頭のMRIで、ほかの病気が隠れていないかを確認します。頭痛の原因が脳の中にある場合、予防薬を使っても解決しません。
前回の検査から5年以上空いている方には、あらためてMRIをお勧めしています。どんな頭痛に注意が必要かについては危険な頭痛とは?すぐ受診すべき6つのサインと見分け方、検査の内容についてはMRI検査のページをご覧ください。
使えない方、慎重に判断する方
添付文書で使えないとされているのは、この薬の成分で重いアレルギーを起こしたことがある方です。
妊娠中、または妊娠している可能性がある方については、治療の利点が危険を上回ると判断される場合に限って使うとされています。授乳中の方は、授乳を続けるかどうかを含めて相談のうえ判断します。お子さんについては、臨床試験が行われていません。
条件に当てはまるかどうかは、最終的に診察で判断します。ご自身で決める必要はありません。
投与の方法と間隔
初回は2本、2回目からは月1本
はじめに240mg、つまり2本を注射します。その後は1か月ごとに120mgを1本ずつ打ちます。
初回だけ2本なのは、薬の濃度を早く必要な水準まで上げるためです。費用も初回だけ2本分になります。
打つ場所
皮膚の下に打つ注射です。おなか、太もも、腕の外側などに打ちます。血管に入れる点滴ではないため、時間はかかりません。
当院では当日には打ちません
これは当院の運用の話です。エムガルティは冷蔵で保管する薬で、冷たいまま打つと痛みが強く出ます。
そのため当院では、診察して治療の内容をご説明し、同意をいただいたうえで、別の日に注射の予約をお取りしています。薬を室温に戻してから打つことで、痛みを抑えられます。
初診の日に注射まで終わらせたい方にはお待たせすることになりますが、痛みの出方が変わるため、この手順を取っています。
自己注射について
エムガルティは、ご自身で注射する方法(在宅自己注射)が認められている薬です。ペン型の器具があり、通院の回数を減らせます。
ただし、どなたでもすぐに切り替えられるわけではありません。使い方の指導を受け、医師が可能と判断した場合に限られます。当院での対応については、診察時にご相談ください。
5つの疑問に答えます
ここからは、実際に患者さんから聞かれることの多い5つにお答えします。
①注射は痛いですか
痛みが出ることはあります。添付文書では、打った場所の痛みが10.1%、赤み・かゆみ・内出血・腫れといった反応が14.9%に見られたと報告されています。
10人に1人くらいは痛みを感じる計算です。ただし、多くは打った直後から数時間のもので、後に残るものではありません。
そして痛みは、打ち方で変えられる部分があります。先に書いたとおり、当院では薬を室温に戻してから打つために、注射を別の日にお取りしています。冷たいまま打つかどうかで、痛みの出方は変わります。
②太ることはありますか
よく聞かれる質問です。エムガルティの添付文書に、体重増加という副作用の記載はありません。
記載されている副作用は、打った場所の症状が中心です。1%未満のものとして、回転性のめまい、便秘、かゆみ、じんましんが挙げられています。体重が増えるという項目はここに入っていません。
心配される背景には、従来の予防薬の一部に体重が増えやすいものがあったことが関係していると思われます。気になる変化があれば、原因を切り分けるためにご相談ください。
③効かない人はいますか
います。ここをあいまいにはできません。
先に挙げた「月3.6日減った」という数字は平均値です。大きく改善する方がいる一方で、変化がほとんどない方もいます。どちらになるかは、打ってみないと分かりません。
だからこそ、当院では3か月で区切って判定します。効いていなければ、続ける意味はありません。別の方法を考えます。
④いつまで続けますか
当院の方針をお伝えします。まず3回打って、3か月の時点で効果を判定します。効いていると判断できれば、6か月から1年ほど続けます。
一生打ち続ける薬ではありません。発作の回数が落ち着いてきた段階で、中止や間隔を空けることを検討します。
そして効かなかった場合でも、3か月は無駄になりません。この薬が合わないと分かること自体が、次の治療を選ぶ材料になります。
⑤やめたら元に戻りますか
国内で行われた長期の試験(CGAP試験)では、繰り返す片頭痛の方で18か月、慢性片頭痛の方で12か月にわたって、片頭痛の日数が改善し続けたと報告されています。
では中止した後はどうなるのか。ここについては、はっきり言い切れるだけのデータがそろっていません。発作が戻ってくる方もいれば、落ち着いたままの方もいます。
ただし、やめた後にまた困るようになれば、再開するという選択もあります。一度やめたら戻れない治療ではありません。
費用はいくらか
3割負担で1回あたり約13,500円
値段が気になる方も多いと思います。エムガルティは保険診療で使える薬です。3割負担の方で、1本あたり約13,500円が目安になります。
初回は2本打つため、約27,000円とお考えください。1割負担の方はおよそ3分の1、2割負担の方はおよそ3分の2が目安です。これらは薬剤料の目安であり、診察料などは別にかかります。
2回目以降は月1本分です
2回目からは1か月に1本なので、3割負担で月々約13,500円という見方になります。薬価は改定されることがあるため、最新の金額は診察時にご確認ください。
高額療養費制度が使える場合があります
1か月の医療費が自己負担の上限を超えたとき、超えた分が払い戻される高額療養費制度という仕組みがあります。上限額は年齢と所得で決まります。
ほかの治療と重なった月や、初回で2本打つ月は、対象になることがあります。加入している健康保険の窓口でご確認ください。お勤め先の健康保険組合に、独自の給付が用意されている場合もあります。
副作用と注意点
多いのは注射した場所の症状です
添付文書に記載されている副作用のうち、1%以上のものは打った場所の痛み(10.1%)と、赤み・かゆみ・内出血・腫れなどの反応(14.9%)です。
いずれも打った場所に限られたもので、ほとんどは自然に治まります。
まれに起こるもの
1%未満のものとして、回転性のめまい、便秘、かゆみ、じんましんが挙げられています。
便秘が起こりうるのは、CGRPが結合する受け手の部分が、脳だけでなく心臓や消化管にもあるためです。CGRPの働きを抑えると、おなかの動きにも影響することがあります。
アジョビ・アイモビーグとの違い
同じ仕組みの注射薬が、日本では3種類使えます。エムガルティ、アジョビ、アイモビーグです。どれも月単位で打つ予防の注射です。
投与の回数が違います
はっきり違うのは打ち方です。エムガルティは初回だけ2本で、以降は1か月ごとに1本。アジョビとアイモビーグは、4週ごとに1本です。
1年で見ると総額はほぼ同じです
1回あたりの金額は、3割負担でエムガルティが約13,500円、アジョビとアイモビーグが約12,500円です。1回だけを比べるとエムガルティが高く見えます。
ただし打つ回数が違うため、1年を通した総額で見ると、3剤はほぼ同じになります。どれかが明らかに安いということはありません。
どれを選ぶかは診察で相談します
3剤に優劣をつけることはできません。通院のしやすさ、注射の回数、これまでの治療の経過などを踏まえて、相談しながら決めます。
なお、CGRPに関わる薬には飲み薬もあります。ナルティークとアクイプタです。注射が難しい方には、こうした選択肢もあります。
江坂で片頭痛の予防治療を相談できる当院
頭痛の回数を減らしたい。痛み止めが効かなくなってきた。そんなときは、一度ご相談ください。
発売当初から使用しています
当院は大阪府吹田市江坂町にあり、大阪メトロ御堂筋線「江坂駅」から徒歩7分です。CGRP関連抗体薬は、2021年の発売当初から使用しています。
これまでに、片頭痛が大きく減った方、ほとんど起こらなくなった方を多く経験しています。ただし全員に同じ結果が出るわけではないことは、先に書いたとおりです。
院内のMRIで確認してから始めます
院内に1.5テスラのMRIを備えています。画像の読影は、日本脳神経外科学会専門医である院長が行います。約20年の臨床経験をもとに、頭痛の原因を確認したうえで治療方針をご提案します。
3か月で判定し、効けば6か月から1年続けます
治療の流れは次のとおりです。
頭痛外来でご相談いただけます
当院では頭痛外来を設けています。予防治療のご相談だけでなく、長く続く頭痛の診療にも対応しています。
エムガルティを使えるかどうかは、診察のうえ判断します。まずは頭痛の状況をお聞かせください。初めての方は初めての方へもあわせてご覧ください。
| RESERVATION 片頭痛の予防治療のご相談 江坂駅徒歩7分。院内MRIで頭痛の原因を確認したうえでご提案します | ||||||||||||||||||||||||||||||||
休診日:木曜・土曜午後・日曜・祝日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
エムガルティは保険診療で使う処方薬です。投与の可否は診察のうえ判断します。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
よくある質問(FAQ)
Q. 群発頭痛にも使えますか?
日本で承認されているのは片頭痛だけです。群発頭痛に対しては保険が使えません。群発頭痛には別の治療がありますので、診察でご相談ください。
Q. 飲み薬の予防薬と一緒に使えますか?
併用することもあります。ただしどの薬をどう組み合わせるかは、これまでの経過を見て判断します。自己判断で飲み薬を中断しないでください。
Q. 効果が出るまでどのくらいかかりますか?
1回目から変化を感じる方もいますが、個人差があります。当院では3回打った時点、つまり3か月で効果を判定します。
Q. 保険は使えますか?
条件を満たす場合は保険診療です。自由診療ではありません。ただし誰にでも使える薬ではないため、適応については診察で判断します。
Q. 市販の痛み止めを飲みながら使えますか?
エムガルティは発作を起こりにくくする薬で、痛くなったときの薬とは役割が違います。発作が起きたときに痛み止めを使うことは問題ありません。ただし痛み止めを飲む日が多すぎると、それ自体が頭痛の原因になることがあります。使っている頻度は、診察でお伝えください。
監修者情報・参考文献
医療情報は正確性が求められるからこそ、「誰が監修しているか」「どの資料に基づいているか」を明示することが大切です。本記事は、脳神経外科専門医として約20年の臨床経験を持つ医師の監修のもとで作成しています。
監修医プロフィール(おくだ脳神経外科クリニック 院長)
参考文献・関連情報一覧
本記事の内容は、以下の資料を参考に、監修医の臨床経験を踏まえて作成しています。
- エムガルティ皮下注120mg 添付文書(日本イーライリリー株式会社)
- 日本神経学会・日本頭痛学会『頭痛の診療ガイドライン2021』
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報
- 日本頭痛学会・国際頭痛学会『国際頭痛分類 第3版』


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