小脳は後頭葉(大脳)の下側,脳幹の後ろ側に位置します。

上小脳脚・中小脳脚・下小脳脚の3つの部分で脳幹とつながっています。

 

小脳の障害で起こる症状で代表的なものとして,運動失調が挙げられます。具体的にどのような症状かというと,手で物を取ろうとするときに最短距離で手を伸ばせず,ぐらぐらと揺れながら手を伸ばしたり,目標の物を掴み損ねたりします。

なぜこのような症状が起こるかというと,何か運動を行おうとするときの流れが関係しています。

まず大脳皮質で運動の企画を行います。その情報が小脳に入ります。そして実際に運動が行われた時の手足からの感覚は脊髄経由で小脳に入ります。この2つの情報を比較して企画した運動の仕方と実際に行われた運動にズレがないかどうかを確認し,必要であれば修正をするよう大脳皮質に情報を送ります。

この働きがあるからこそ,手足や体幹の精密でスムースな運動が可能となるのです。

そして,左側の小脳は右側の視床・大脳皮質への連絡,右側の小脳は左側の視床・大脳皮質へ連絡をそれぞれ行なっています。そのため,右の小脳に障害が出ると右半身(左側の大脳に連絡しているため)の症状が生じることになります。

その他小脳の機能として,運動学習に関わります。自転車に乗るなど身体で覚えるようなタイプの技能習得に関わっていたりします。

小脳は大脳の1/10以下の大きさでありながら,神経細胞は大脳よりはるかに多いためこのような高度な機能を発揮することができるのでしょう。

 

理学療法士 杉澤

おくだ脳神経外科クリニック