運動発達②
今回は姿勢制御の発達についてです。
姿勢制御は発生した身体平衡の乱れに対して、重心を維持し、重力下での円滑な運動を補償する重要なシステムです。
大人の場合、視覚からの情報や前庭感覚、固有感覚、運動感覚からの情報などにより安定したシステムとなっています。
発達過程ではこのシステムが不十分であり、外乱に応じた適切な姿勢反応を形成する能力が足りない状態です。
人は新しい姿勢制御の技術を獲得する場面では、視覚依存的に姿勢制御を行う特徴があります。その後、姿勢制御の発達はその姿勢における経験とともに洗練され、運動感覚依存性に移行していきます。
また、その過程で運動の結果生じる外乱を予測し準備する予測性姿勢制御も洗練されてきます。
この予測性姿勢制御は4.5歳ごろから出現すると言われており、大人と同様のものを獲得するのは7〜10歳ごろです。
小さな子供が何度も転んだりするのはこのシステムが不十分であることも関係しているのではないでしょうか。
脳卒中後遺症の患者さんもこの予測性姿勢制御が障害されていることが多く、生じた外乱に対しバランスを保てないということがよくみられます。この制御を再構築していくのもリハビリの目的の1つになります。
リハビリ担当 理学療法士