交通事故など,身体が前方へ移動する力を急に止められた時に頭が前後へ強く振られることにより頸椎への負担がかかります。

天井を見る動作(頸部伸展)では上位頚椎から順番に下の頸椎の運動が起こっていきます。ところが,交通事故ではシートで背中の部分が前方へ押される力が働いており,頭が後ろへ振られるときに下位頸椎の過剰な伸展運動が起こります。それにより,椎間関節や靱帯にストレスが加わり損傷します。

むち打ち直後は損傷部位を保護するために首を中心に全身の緊張が高くなります。そのため首だけで無く背中・腰の痛みや,腕や脚の痺れなど色々な症状が出やすい時期となります。受傷後3日〜10日前後は炎症が強い時期であり特にこのような症状が出やすいです。

炎症が落ち着いてくると損傷部位自体の痛みから筋肉の過緊張状態が原因となって起こる二次的な痛みに変化していきます。例として安静にしてても痛い→この動きをすると痛いor重だるい感じといった具合です。
この二次的な痛みの原因として,損傷部位を守るために表層の筋肉がガチガチになり,深層の筋肉は損傷していたり,働きが弱くなっているため表層の筋肉が更に固定をしようと頑張るという悪循環に陥っています。炎症期を脱するとともに深層筋を働けるものにしていくトレーニングが必要となります。深層の筋肉が働けるようになると,表層の筋肉の負担が減り痛みが徐々に改善していきます。
痛みに対する恐怖心も筋肉を働きづらくさせている要因のひとつであるため,どういう動きで痛みが出るのか・どの動きは大丈夫なのかをわかっていくことも改善に向けて必要なこととなってきます。

理学療法士 杉澤

おくだ脳神経外科クリニック