脳は大まかに大脳,小脳,脳幹に分けられます。
小脳は運動の調節や運動学習などに関わり,脳幹は呼吸などの生命維持に関わります。
大脳は前頭葉,頭頂葉,側頭葉,後頭葉に分けられます。
今回はこの中で前頭葉の補足運動野についてです。

 

前頭葉は大まかに情動,人間性,運動企画,運動の機能があります。中でも前頭連合野はヒトの大脳の30%を占めます。哺乳動物の中でも特に発達しています。この部分は,言語や数字などの抽象的概念や人間らしい思考力,社会性に関わる部分です。

補足運動野は上記の運動企画の部分に当たります。例えばコップの水を飲むとき,私たちは腕を持ち上げて肘を伸ばして手を広げてコップをつかむという運動の順序立てを知らず知らずのうちに行い,コップを持つことができます。補足運動野の障害があるとこの順序立てができず動き出せなくなったり,協調的な運動が難しくなります。思うように動かせないということの自覚はあるため,自ら進んで動かないようになったり,抑うつ傾向になってしまったりと弊害が出てきます。

今回補足運動野にフォーカスしたのは,分かりやすい運動麻痺や運動失調などの症状がないため見逃されてしまうケースがあるためです。

このように運動機能が正常でも,運動企画の障害で動けなくなるということがあり,それが自発的な活動の妨げになっている可能性もあります。

 

理学療法士 杉澤

おくだ脳神経外科クリニック