身体が運動しているときや重力に対して傾いているとき,眼球や姿勢を制御する機能を平衡機能といいます。平衡機能で特に重要な役割を果たしているのが前庭神経核です。

前庭神経核に情報を送っているのが耳の中にある三半規管です。三半規管,耳石器では頭の傾きを検知し,その情報を前庭神経核に送ることにより自分がどの程度傾いているのかということを検知する事ができます。筋肉からの感覚,視覚からの情報もここに送られ総合的に自分の身体がどの程度傾いているかなどを把握する事ができます。

これらの機構により,立った状態で姿勢をキープしたり転倒せずに歩く事ができています。

 

三半規管内は液で満たされており頭の動き(回転)が生じると液が流動し,内部にある毛状の受容器が動くことによりどのような動きが起こっているのかを感知します。この毛状の受容器は酸素不足に弱いということがわかっており,椎骨脳低動脈の動脈硬化の進行や動脈の蛇行があることで平衡機能障害あ起こりやすいとも言われています。動脈硬化や動脈の蛇行は高齢者に多いため,高齢者の平衡機能障害に影響している可能性があります。

要は,歳をとるにつれふらつきが多くなったのは筋力や体力低下の問題もあるかもしれないけど,脳循環系の問題も関与しているかもしれないということです。もちろん,脳梗塞や脳出血で前庭神経核が障害された場合も同様の症状が出ます。

急にふらつくことが多くなった方などはこのような原因もあるかもしれません。

 

理学療法士 杉澤

おくだ脳神経外科クリニック