頭頂葉は大脳の頭頂部分です。前頭葉の後ろに位置し,中心溝という溝で分かれておりそのすぐ後ろに位置しています。前回の中心前回(一次運動野)の後ろで中心後回とも言われています。

一次運動野と一次感覚野が隣り合っている状態で,一次運動野と同様にそれぞれの場所がそれぞれの末梢器官の感覚をつかさどっています。そして,一次運動野と同様に頭頂部から耳側にかけて足,体幹,腕,手,顔面の順に並んでいます。

この一次感覚野が傷害される,例えば手の支配領域が傷害されると損傷部位の反対の手の感覚が分からなくなります。脳卒中で片麻痺が注目されますが,感覚も運動にとても重要な部分です。

人が歩こうとした時,足の位置がどのようになっているか感じていない状態であったとすると,どういうことが起こると思いますか?

そもそも自分の足の位置や床に着いているかどうかが分かっていないと,どういう方向に・どの程度の力で・どれくらいの角度動かせばいいのかが分かりません。こうなると目で見ながらでなければ安全に歩くことはできません。感覚があってこそ,運動ができると言ってもいいくらい感覚は重要なものなのです。

 

感覚は末梢と一次感覚野を結ぶ神経路のどこかが傷害されて起こります。特に注目したいのが,脳幹から大脳皮質の間にある視床という部分です。ここは身体全ての感覚情報の中継点となる部分です。そのため,視床が障害されると一次感覚野への感覚情報が滞ってしまい,感覚障害が生じます。

このような症状の場合も,回復過程でリハビリなどで末梢の感覚刺激や,運動を用いて感覚刺激を脳に上げていくことで新たな経路を構築していくことが重要であると考えます。

 

感覚障害は脳卒中の重要なサインの一つです。もし半身の違和感や感覚を感じにくいと思った場合は,医療機関を受診することをお勧めします。

 

理学療法士 杉澤

おくだ脳神経外科クリニック