前回は頭頂葉の一次感覚野(中心後回)についてでした。今回はその後ろ側に位置する頭頂小葉です。

頭頂小葉は頭頂間溝という溝で2つに分かれており,それぞれ下頭頂小葉・上頭頂小葉と言います。更に下頭頂小葉は縁上回と角回に分けられます。ちなみに角回は側頭葉の上端になります。

頭頂小葉は体性感覚や視覚・聴覚などを統合して認知することで,物体の識別や空間認知に関わります。

具体的に人が自分の見ている景色(視覚情報),足の裏からの感覚(体性感覚)などの情報をもとに自分自身が空間に対しどの場所に位置しているか・身体の傾きなどがあるかなどを把握することができます。

頭頂小葉の障害では,代表的なものとして半側空間無視という症状があります。これは主に右の上頭頂小葉の障害で起こり,自分の身体に対し左側の空間があることを認識できない状況です。ご飯を食べているときに左側のおかずに気づかず,右側のものだけ食べたる・歩いているときに左側の人やものに気づかずぶつかってしまうなどです。

その他,服を着ることができなくなる(着衣失行)・会話はできるが,読み書きができなくなる(失読・失書),立体的な図形の模写ができない(構成失行),道具の使用や模倣ができなくなる(失行)などの症状もあります。

純粋に頭頂小葉のみの障害であれば運動麻痺や感覚障害はないにも関わらず上記のような症状が出るため,周りに分かってもらえないことも多いと思います。

思い当たる部分がある方は早めに医療機関を受診することをお勧めします。

 

理学療法士 杉澤

おくだ脳神経外科クリニック